桜の花と入れ代わるように、城山に若葉が緑の衣を広げようとする春のこの佳き日に、松山東雲中学・高等学校の入学式を、御来賓の皆様の御臨席を得て挙行できますことを心から感謝申し上げます。
ただいま、中学生37名、高校生121名の皆さんの入学を許可いたしました。新入生の皆さんは、大きな希望と少しの不安を抱かれているのではないかと思います。不安は、一日一日と学校生活を送っていくうちに消えていくと思います。分からないことや困っていることは、口に出し、親身な先生や優しい上級生の皆さんに尋ねてみてください。必ずや親切に対応してくださいます。また、新しいクラスメートに声をかけてみてください。あいさつから人間関係が広がり、友情が育まれていくものです。東雲は、温かい学校です。
さて、新入生の皆さん、本校の正門から入ると両脇に石垣があります。本校は、江戸時代の松山藩の家老屋敷の跡地に建っています。その石垣を今日、帰るときにじっくりと見てみてください。大小さまざまな形の石が、うまく組み合わさってできています。現代のコンクリートブロックと違って一つ一つの石の大きさや形はまちまちです。それが、何百年もの間、地震にも崩れないで、しっかりとそこにあるのはなぜでしょうか。それは、石同士がお互いのバランスを取りながら、支え合い、隣り合う石が隙間もないくらいに寄り添って、全体として堅固な石垣が出来上がっているからです。
皆さんがこれから、3年間、6年間本校で学んでいく中で、時々、石垣を思い出していただきたいと思います。自分は、世の中を支えていく女性としてどのように成長していくのか。どのような形で、社会を支えていくのか。みんながそれぞれの役割を自覚して、石垣のようにぴったりと寄り添い、心を合わせていかなければ、未来の社会は確かなものになりません。
人は、それぞれ、違った個性を持っています。この東雲中学・高等学校で学ぶ皆さんは、お互いを尊重し、良さを認め、未熟な点、至らない点を許し、ともに成長してまいりましょう。一つ一つの石が重要であるように、皆さん一人一人が大切で、かけがえのない存在です。
ここ「東雲」でできた友達は、「一生の宝物」となります。心通わせる友がいて、優しく時には厳しく支え導いてくださる先生がいて、温かい居場所のある学校、それが「東雲」です。
保護者の皆様、本日はおめでとうございます。お子様の晴れの日を迎えられて、お喜びもひとしおのことと存じます。私ども教職員一同、大切なお子様をお預かりします以上は、東雲に来てよかったと思って卒業していただけるよう、力の限り教育に当たりたいと考えておりますので、どうか、家庭と学校が車の両輪となってお子様の成長を支えることができますよう、連携・協力をお願いいたします。
「心に 愛と 希望と 勇気を ー未来のために 今を生きるー 」
この重点努力目標を、心にとめながら、皆さんが、どんどん成長し、未来のために、この東雲中学・高等学校で、かけがえのない自分を作り上げていかれることを切に願って式辞といたします。