2025年3月18日火曜日

修了式  式辞

 正門からの坂道の木々も春めこうとする今日の佳き日に、御来賓の皆様の御臨席を賜り、2024年度松山東雲中学校の修了式を挙行できますことは、我々教職員一同、この上ない喜びであり、本日ここにお集まりくださいました、すべての皆様に厚く御礼申し上げます。
 とりわけ、卒業生の保護者の皆様には、本校入学以来、健やかな成長を願われての日々、「朝なかなか起きてこない」「食が進まない」「笑顔が消える」など、様々な御苦労や御心配がお有りだったと思います。たくさんの苦難を乗り越え、本日、お子様は晴れの御卒業となりました。心からお慶びを申し上げます。
 ただ今、卒業証書を授与いたしました33名の卒業生の皆さん、おめでとうございます。皆さんの、これまでの学習における頑張りや、体育祭、クローバーディ、スプリングフェスティバルなどの各種行事、部活動での活躍ぶりは、たいへん素晴らしく、私はいつも感心させられました。とりわけ、あいさつ、お辞儀、掃除態度は、天下に誇る「東雲レディ」の伝統となっています。
 また、一年生の時からのお茶、お花、お箏とよく頑張り、校長室にも何度も足を運んでいただきました。皆さんの思いやりや優しさにいつも感謝してきました。ありがとうございました。
 さて、愛媛にゆかりの深い山頭火という俳人がいますが、山頭火が松山にやってきたとき、中心となって衣食住のお世話をした方に、高橋一洵という方がいます。松山大学の先生でもありましたが、人のために心底尽くす姿勢や生き方が素晴らしく、「一洵菩薩」とまで呼ばれた方です。その先生が教え子の学生たちによく書いていた言葉、自由律俳句があります。それは、「悲しいときには泣いたらなおる青い山脈」という言葉です。人生、山あり、谷ありですが、まさに悲しいときは泣いて、泣いて、涙枯れるまで泣いて、そして立ち上がっていきましょう、と呼びかけているのです。悲惨な戦争を経験し、空襲を受け、苦しい中から立ち上がっていった、戦後間もない、当時の人々の心に響く言葉だったに違いありません。
 これからの社会では、「人間関係を築く力」が重要とされていますが、今、さらに、求められているのは「人間関係を元に戻す力」です。そして、修復していくための手立ては、昨日までと変わらない「笑顔」と「元気な挨拶」です。まさに、人間関係をよりよく築いていく手立てと同じ「笑顔」と「挨拶」です。
「悲しいときは、泣いたらなおる青い山脈」
「青い山脈」は、故郷の山々、心のよりどころであり、また、幸せの象徴、未来への希望を示すものでもあります。
 生きていく中で、悲しいこと、苦しいことがあっても、それを乗り越え、「笑顔」と「元気な挨拶」を心がけ、心に「愛」を持って、人に優しく接していきましょう。「希望」と「勇気」を持って、社会をより良く変えていきましょう。
 親元を離れて3年間頑張った人、これまでとは違う道を歩む人、様々ではありますが、卒業生の皆さんが、新しいステージで、自らの第一歩を力強く踏み出されることを心から応援しています。
 ますますの御健康と、洋々たる前途に幸多きことをお祈り申し上げて式辞といたします。

2025年3月18日
                    松山東雲中学校長  染田 祥孝

2025年3月7日金曜日

弥生となりて

 3月1日に高校3年生を卒業式で見送り、いよいよ春本番の弥生となりました。
 木曜日には、中学3年生が修学旅行に出発いたしました。オーストラリアで、中学生最後の学校行事を満喫して、心に残る楽しい思い出をたくさん作ってきてくれることでしょう。
 同じく木曜日には、「しののめキッチン」が開かれたのですが、私は出張のため、いただくことができず申し訳ありません。来週13日の木曜日に、メニューをご紹介いたします。今日も、生徒たちのために、おいしい料理をご提供くださいました保護者の皆様に感謝申し上げます。

 金曜日は、中学生は総合的な学習の時間があり、中学2年生には、お花を活けていただきました。「桃」「菜種」「タニワタリ」が、春の暖かさと優しさを醸し出しています。
 1年生にはお茶を点てていただきました。お菓子は、桃の節句にちなんだ「ひし餅」のお菓子でした。今日は、1年間の皆さんの頑張りに対して、茶道の家元から認定証をいただき、私からお渡しをさせていただきました。「挙措動作」、「立ち居振る舞い」、「所作」「しぐさ」など、様々な言葉で表現される「身のこなし」ですが、品をたたえ、優雅にふるまえたら、本当に素敵ですね。皆さんは、この1年間で、茶道を通して、自分磨きができました。「東雲lady」の誕生です。

 今日の生徒の皆さんとの会話は、「この一年で、良かったこと、楽しかったことは何ですか」の問いに対して、「テストで100点を取れたことです」「クローバーディが楽しかったです」などと回答をいただきました。
 学年末テストを乗り切りました。これから、明るく楽しい「春」を謳歌いたしましょう。
 今週も皆様にとりまして、素敵な週末となりますように。

2025年3月1日土曜日

卒業式  式辞

 太陽の光が暖かな春の到来を感じさせる今日の佳き日に、御来賓の皆様の御臨席を賜り、第76回松山東雲高等学校の卒業証書授与式を挙行できますことは、私たち教職員にとりまして、この上ない喜びであり、御臨席を賜りました皆様方に厚く御礼を申し上げます。
 また、卒業生の保護者の皆様には、本校入学以来、お子様の健やかな成長を願われての日々だったと思いますが、ある日突然、笑顔が消えて無口になったり、朝ご飯を食べなくなったり、部屋に閉じこもって出てこなかったりと、様々な御苦労や御心配がお有りだったと思います。様々なドラマを繰り広げながら、本日、お子様は、それぞれの艱難辛苦を乗り越えて、晴れの御卒業となりました。心からお慶びを申し上げます。
 ただ今、卒業証書を授与いたしました95名の卒業生の皆さん、おめでとうございます。皆さんは、人を大切にして優しく接し、意見が対立してもそれを乗り越え、一致団結、協力して自分たちの良いところを遺憾なく発揮してきました。また、とりわけ今年は、多くの部が全国大会等に出場するなど、素晴らしい成果を上げていただきました。
 思い起こせば、昨年の冬、私が学校に出勤した朝7時過ぎ、凍るような空気の中で、グランドを猛ダッシュするバレーボール部員の姿を何度も何度も見ました。同じく、寒い冬の夕方、みぞれが降っても、照明をつけながらグランドでボールを追い続けるサッカー部員の姿を見てきました。寒い日も、暑い日も、朝練を続けるアーチェリー部員。急いで朝の礼拝に走っていく姿を幾度となく見てきました。
 重い楽器を運びながら、笑顔で対応する吹奏楽部員の姿。とても素敵でした。もちろんコンクールやマーチング大会での演奏も、見事でした。白い手袋をし、様々な行事で、心を合わせて演奏をするハンドベル部員。奉仕の心をもって、能登への義援金を集めるために街頭に立ってくれたYWCAをはじめとする心優しい人たち。文化部・運動部、同好会、女子力など、皆さんは、本当に頑張ってきました。
 部活が終わった3学期に、やっと余裕のできた昼休み。青春の思い出として、パンを買いたかった人たちが、突然パン販売がなくなって残念がっていると知らせてくれた思いやりのある高校3年生。弁論大会で、女子校の意義を考えたり、親元を離れて本校に来る覚悟や保護者への感謝の気持ちを述べてくれたりした、弁士の人たち。調理実習で作った料理を届け、さりげなく食器を下げに来てくれた心濃やかな人たち。学校行事を成功させるために、裏方として遅くまで残って準備してくれた生徒会の皆さん。遅れることがあっても、あの坂道を上り、日々自分と戦って、卒業を勝ち取ったあなたたち。最後の最後まで、国公立の二次試験に挑んできた、努力家のあの人、この人。今こうして振り返れば、卒業する皆さんが活躍した様々な姿や場面が浮かんできます。私たちは、皆さんからいただいた素晴らしい思い出をこれからも大切にしていきたいと思います。
 さて、卒業生の皆さん。これからも「笑顔」と「元気な挨拶」を心がけ、心に「愛」を育んで、人に優しくしていきましょう。「希望」と「勇気」を持って、社会をより良く変えていきましょう。「東雲レディ」として、人に優しい、ほっとするような、温かみのある社会を創っていきましょう。それが、明治以来138年続く本校の、卒業生としてのミッションです。
 それでは、いよいよ旅立ちの時がやってきました。卒業生の皆さんが本校を巣立ち、新しい世界で、自らの新しい一歩を踏み出されることを、この「東雲」の優しい先生方は、心から応援しています。皆さんのますますの御健康と、前途に幸多からんことをお祈り申し上げて、式辞といたします。

            2025年3月1日  松山東雲高等学校長  染田 祥孝