厳しかった冬が過ぎ、松山城の木々がうっすらと春色をまとい始めようという今日の佳き日に、御来賓の皆様の御臨席を賜り、第74回松山東雲高等学校の卒業証書授与式を挙行できますことは、我々教職員一同、この上ない喜びであり、御臨席を賜りました皆様方に厚く御礼申し上げます。
また、卒業生の保護者の皆様には、本校入学以来、健やかな成長を願われての日々、様々な御苦労や御心配がお有りだったと思いますが、本日、お子様は晴れの御卒業となりました。心からお慶びを申し上げます。
ただ今、卒業証書を授与いたしました95名の卒業生の皆さん、おめでとうございます。皆さんの、これまでの学習における頑張りや各種行事、部活動での活躍ぶりを見て、私はいつも感心させられました。特に、最高学年になった今年一年間、皆さんは、自分たちの良いところを遺憾なく発揮されました。
さて、皆さんが踏み出そうとしている社会は、さまざまな分野において、急激な変化や改革が進んでおり、時として戸惑いや焦りを感じることがあるかもしれません。しかし、恐れることはありません。いつの時代にあっても変わらず必要とされるもの、普遍的な価値や意味を持つものがたくさんあります。それらを身に付け、いかんなく発揮すれば、どのような難局も切り抜けることができると思います。
例えば、本校の重点努力目標、「心に愛と希望と勇気」をの、「愛」と「希望」と「勇気」がそうです。相手への思いやりを持ち、自分自身も大切にする「愛」。絶望的な状況に陥ってもあきらめず、力が湧いてくるまで待ち、理想を追い求める「希望」。何かを行おうとするときに一歩前に出る「勇気」。この三つの力は、皆さんが世の中を渡っていく上で、心強い味方となってくれるはずです。
また、困ったときには、人の助けを借りましょう。自分ですべてを切り開こうと思うと壁も厚く感じます。「他力」を借りて、自分でどうにもならない時には、天に委ねてみるのも一つの手です。時間が方向性を示してくれる時があります。
困ったときのもう一つの大きな拠り所は、本校「東雲」です。素晴らしい、親身な先生方がそろって待っています。いつでも、里帰りのように相談に来てください。
それでは、いよいよ旅立ちの時がやってきました。卒業生の皆さんが本校を巣立ち、新しい世界で、自らの新しい一歩を踏み出されることを心から応援しています。ますますの御健康、洋々たる前途に幸多からんことをお祈りし、式辞といたします。